生活習慣病

メタボと判定される腹囲とは?正しい測り方やその他の診断基準も解説

メディパレット編集部

メディパレット編集部

メタボと判定される腹囲とは?正しい測り方やその他の診断基準も解説

「おなかが出てきたけど、メタボなのかな?」

「腹囲がどのくらいだとメタボなんだろう……」

と気になる方も多いのではないでしょうか。

腹囲は内臓脂肪の蓄積を推定できる指標で、メタボリックシンドロームの診断基準の一つです。

内臓脂肪が多くたまった状態は、高血圧や糖尿病、脂質異常症などを発症するリスクを高めます。

なお、メタボリックシンドロームは腹囲が基準値より大きいことだけで診断されるわけではありません。

この記事では、腹囲を含めメタボリックシンドロームの診断基準を解説します。

メタボリックシンドロームを予防・改善するためのポイントもご紹介するので、参考にしてくださいね。

1.メタボリックシンドロームの腹囲の基準

脇肉をつまんでいる人

腹囲は内臓脂肪がどの程度蓄積しているかの目安となり、メタボリックシンドロームの診断基準の一つです。

内臓脂肪の量はCTスキャンなどで測定できますが、健康診断では腹囲の大きさを測ることで推定されます。

内臓脂肪について詳しくはこちら

CTスキャンとは
筒状の装置内でX線を全方向から体に照射し、体の内部を画像化する検査です。必要な器官だけの3Dや体を輪切りにした状態を画像にすることが可能です。同じくX線を用いるレントゲンは、一方向からの画像を一瞬で撮影する検査です。

腹囲の基準は男性で85cm以上、女性で90cm以上で内臓脂肪面積100平方センチメートルに相当します[1]。

腹囲を測ることでおおよその内臓脂肪の量が推定できるのですね。

ただし、腹囲が大きいだけではメタボリックシンドロームとはいえないため注意が必要です。

[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「メタボリックシンドロームの診断基準

【関連情報】 「メタボリックシンドロームとは?診断基準や健康への悪影響を解説」についての記事はこちら

2.腹囲の正しい測り方

メジャーで自分の腹囲を測っているところ

正確な数値を把握するため、腹囲は正しい方法で測ることが重要です。

腹囲の測定はできるだけ飲食後2時間以上経過してから行うようにしましょう[2]。

力を抜いて立ち、へその周囲径を測定します

測られる人は両足をそろえ、両腕を体の横に自然に下ろします。

このとき、おなかに力を入れないようにしてください。

測る方は図られる方の正面に立ち、メジャーを腹部に直接当てます。

正確な計測のためには、下着などを着用せずに直接肌に当てることが勧められます。

へその周囲に巻き尺が水平に巻かれていることを確認し、普通の呼吸で息を吐いた終わりに目盛りを読み取ります。

内臓脂肪の蓄積によりへその位置が下がっている場合は、肋骨の下の縁と上前腸骨棘(じょうぜんちょうこつきょく/骨盤の上の出っ張った部分)の中間の高さで測定しましょう。

腹囲の測定方法

[2] 厚生労働省 健診・保健指導のあり方「腹囲(おなか周り)を測定してみましょう

3.メタボのその他の診断基準

健康診断票の血圧の部分に蛍光ペンで印をつけているところ

メタボリックシンドロームの診断基準は腹囲だけではありません。

腹囲に加えて血清脂質、血圧、血糖のうち二つ以上が基準値から外れていて初めてメタボリックシンドロームだと診断されます

へそ周りのサイズはウエスト周囲径といわれ、健診において腹囲の意味で使われます。

【メタボリックシンドロームの診断基準】
項目 検査値
内臓脂肪蓄積
ウエスト周囲径
男性 85cm以上
女性 90cm以上
上記に加えて2項目以上
血清脂質
トリグリセリド(中性脂肪)150mg/dL以上 かつ/または
HDLコレステロール 40mg/dL未満
血圧
最高血圧 130mmHg 以上 かつ/または
最低血圧 85mmHg 以上
血糖
空腹時血糖値 110mg/dL以上

厚生労働省 e-ヘルスネット「メタボリックシンドロームの診断基準」をもとに執筆者作成

この章では、メタボリックシンドロームの基準のうち腹囲以外の項目についてそれぞれ見ていきます。

3-1.血清脂質

血清脂質とは血液中の脂質のことです。

血清脂質のうち、トリグリセリド(中性脂肪)150 mg/dL以上かつ/またはHDLコレステロール 40mg/dL未満の場合にメタボリックシンドロームの基準に該当します[3]。

中性脂肪について詳しくはこちら

メモ
血液中に存在するコレステロールには、肝臓のコレステロールを全身へ運ぶLDL(悪玉コレステロール)と血管壁にたまったコレステロールを回収し肝臓へ運ぶHDL(善玉コレステロール)があります。両者のバランスが崩れ、血液中のコレステロールが過剰になった状態を脂質代謝異常といいます。

トリグリセリドやHDLコレステロールの他、LDLコレステロールの血中濃度が異常値を示すと、脂質代謝異常と診断されます

脂質異常は「動脈硬化」を進行させる危険因子です。

動脈硬化とは
本来、弾力性や柔軟性のある動脈が厚みを増し硬くなった状態のことです。老化や高血圧、肥満、喫煙、コレステロールなどが発症や進行の要因といわれています。

LDLコレステロールはメタボリックシンドロームの診断基準ではないですが、単独でも動脈硬化の進行に大きく影響するため注意が必要です。

[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「メタボリックシンドロームの診断基準

3-2.血圧

メタボリックシンドロームの診断基準において、血圧の異常は「収縮期血圧」が130mmHg以上かつ/または「拡張期血圧」が85mmHg以上の場合に該当します[4]。

メモ
心臓が収縮し血液が全身に送り出される際に血管壁にかかる圧力が収縮期血圧で、一般的に「最高血圧」と呼ばれます。一方、再度血液を送るために心臓が拡張したときに血管壁にかかる圧力が拡張期血圧で「最低血圧」ともいわれます。

メタボリックシンドロームの血圧の基準は高血圧の基準とは異なります。

高血圧診断基準では、診察室での収縮期血圧(最大血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上の場合、高血圧と定義されています[5]。

自宅で測る血圧は家庭血圧といわれ、診察室での数値よりも低い基準が用いられます。

家庭血圧で高血圧と診断されるのは、収縮期血圧が135mmHg以上、または拡張期血圧が85mmHg以上の場合です[5]。

メタボリックシンドロームの基準に該当しない場合でも、高血圧は単独で心臓疾患や脳卒中など多くの病気の原因となります

認知症の発症の要因ともいわれるため注意が必要です。

[4] 厚生労働省 e-ヘルスネット「メタボリックシンドロームの診断基準

[5] 厚生労働省 e-ヘルスネット「高血圧

【関連情報】 「血圧とは?基準値や健康への影響、正常な血圧維持のポイントを解説」について詳しくはこちらの記事もご覧ください

3-3.血糖

メタボリックシンドロームの診断基準では、空腹時の血糖値が110mg/dL以上で高血糖と見なされます[6]。

高血糖は血糖値が高い状態のことです。

細胞は、組織や臓器の活動のために血液中のブドウ糖を取り込みエネルギーに変換します。

ブドウ糖の取り込みには、膵臓(すいぞう)から分泌されるインスリンというホルモンが必要で、インスリンのはたらきが弱いと高血糖を招きます。

高血糖の原因は、過食や糖の過剰摂取、肥満、運動不足、ストレス、遺伝、加齢などです。

高血糖が続くと糖尿病を発症します

糖尿病は「網膜症」や「腎症」など、重篤な病気の原因となることがあります。

メモ
網膜は目の底にある薄い膜です。高血糖が続くと網膜の血管にも影響し網膜症を発症します。悪化すると網膜出血や網膜剝離などが起こり、視力低下や失明につながる場合があります。また血糖値の上昇は、腎臓で老廃物のろ過を行う糸球体のはたらきにも障害を起こし、腎機能を低下させ腎症を発症させる要因となります。

また、高血糖とがんや認知症には関連性があるともわれているため、注意が必要です。

[6] 厚生労働省 e-ヘルスネット「メタボリックシンドロームの診断基準

【関連情報】 「血糖値とは?正常値や高血糖の基準、高血糖・低血糖の影響を解説」について詳しくはこちらの記事もご覧ください

4.メタボの健康上のリスク

体重計とメジャー

メタボリックシンドロームは動脈硬化を進行させ、日本人の代表的な死因である心臓病や脳卒中を引き起こす恐れがある状態です。

動脈硬化が進行すると、血管が狭まったり詰まったり裂けたりしやすくなるため、命にも関わるさまざまな病気を引き起こします。

内臓脂肪の蓄積や血清脂質の異常、高血圧、高血糖はそれぞれが動脈硬化の因子であり、重なるほどに心臓病や脳卒中の危険性が高まるといわれています

また、内臓脂肪型肥満は高血圧や高血糖、血清脂質の異常を引き起こしやすくするといわれます。

そのため、メタボリックシンドロームは予防・改善が必要だとされているのです。

5.メタボを予防・改善するポイント

ジョギングをする男性

メタボリックシンドロームを予防・改善するためには、内臓脂肪をため過ぎないことが重要です。

内臓脂肪は皮下脂肪よりもつきやすい半面、落ちやすいといわれます。

そのため、食生活の改善や運動を行うことで比較的簡単に減らすことができるのです。

ここではメタボリックシンドロームを予防・改善するためのポイントを見ていきましょう。

ポイント1 エネルギー摂取量を適切に抑える

内臓脂肪の過度な蓄積を防ぐため、食事の際はエネルギー摂取量を適切に抑えましょう。

食べ過ぎは内臓脂肪の増加につながります。

内臓脂肪が増えると高血圧や糖尿病、脂質代謝異常を招き、動脈硬化を進行させる原因となります

メタボリックシンドロームの予防・改善のためには摂取エネルギーが過剰にならないように注意しましょう。

適切なエネルギー摂取量は、推定エネルギー必要量から確認することができます。

【推定エネルギー必要量(kcal/日)】
性別 男性 女性
身体活動レベル 低い 普通 高い 低い 普通 高い
18〜29歳
2,250
2,600
3,000
1,700
1,950
2,250
30〜49歳
2,350
2,750
3,150
1,750
2,050
2,350
50~64歳
2,250
2,650
3,000
1,700
1,950
2,250
65~74歳
2,100
2,350
2,650
1,650
1,850
2,050
75歳以上
1,850
2,250
-
1,450
1,750
-

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成

身体活動レベルとは次のように定義されています。

【身体活動レベル】
低い 生活の大部分を座って過ごし、体を動かす機会があまりない場合
普通 座って過ごすことが多いが、歩いたり立った状態で作業・接客したりすることがある仕事に就いている場合、または通勤や買い物で歩いたり、家事をしたり、軽いスポーツを行ったりする習慣がある場合
高い 移動したり立った状態で作業したりすることの多い仕事に就いている場合、または余暇にスポーツをするなどの活発な運動習慣がある場合

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成

例えば、会社へ通勤しデスクワークに従事している50歳の男性は身体活動レベルⅡに該当するため、推定エネルギー必要量は2,600kcalです[7]。

ご自分のエネルギー量を適正に抑えるために、参考にしてくださいね。

[7] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)

ポイント2 エネルギー産生栄養素バランスを意識する

エネルギー産生栄養素をバランス良く摂ることも、メタボリックシンドロームの予防や改善には重要です。

エネルギー産生栄養素とは、たんぱく質・脂質・炭水化物のことです。

これらはヒトにとってエネルギー源となる必須の栄養素で、日本人の食事摂取基準(2025年版)ではエネルギー産生栄養素バランスが設定されています。

エネルギー産生栄養素は、たんぱく質・脂質・炭水化物それぞれが総エネルギー摂取量に占める割合を示すもので、各栄養素の欠乏予防や生活習慣病の発症・重症化予防を目的とするものです。

【エネルギー産生栄養素バランス(%エネルギー)】
性別 男性 女性
年齢など 目標量 目標量
たんぱく質 脂質 炭水化物 たんぱく質 脂質 炭水化物
18〜29歳
13~20
20~30
50~65
13~20
20~30
50~65
30〜49歳
13~20
20~30
50~65
13~20
20~30
50~65
50〜64歳
14~20
20~30
50~65
14~20
20~30
50~65
65〜74歳
15~20
20~30
50~65
15~20
20~30
50~65
75歳以上
15~20
20~30
50~65
15~20
20~30
50~65
妊婦 初期
-
-
-
13~20
20~30
50~65
中期
-
-
-
13~20
後期
-
-
-
15~20
授乳婦
-
-
-
15~20

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成

糖質や脂質を多く摂り過ぎると高血糖や脂質異常症の原因にもなります。

エネルギー産生栄養素バランスを参考にして、特定の栄養素に偏らないように注意してくださいね。

【関連情報】 「脂質異常症とは?発症の原因や健康への影響、改善のポイントも解説!」について詳しくはこちらの記事をご覧ください

ポイント3 脂質の種類に注意する

摂取する脂質の種類に注意することも、メタボリックシンドロームの予防や改善のために重要です。

脂質のうちトリグリセリドは摂り過ぎると肥満につながるため、過剰に摂らないように注意が必要です。

また、コレステロールのバランスが崩れると動脈硬化を進行させてしまいます。

そのためLDLコレステロール値を下げ、血液中の余分なコレステロールを回収してくれるHDLコレステロール値を上げることが大切です。

トリグリセリド値を下げ、HDLコレステロール値を上げるにはn-3系脂肪酸のEPAやDHAを十分摂ることが勧められています

メモ
脂質の一種であるn-3系脂肪酸はヒトの体内では合成できないため、食事で摂取しなくてはならない必須脂肪酸です。 n-3系脂肪酸はα-リノレン酸・EPA・DHAに分類され、EPAやDHAは、魚に多く含まれることで知られています。

n-3系脂肪酸は次のような食品に多く含まれています。

【n-3系脂肪酸を多く含む食品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 加工状態など 含有量
えごま油
-
58.31g
アマニ油
-
56.63g
くるみ
いり
8.96g
たいせいようさば
6.56g
さんま/皮付き
5.59g
いくら
-
4.70g
ぶり
3.35g
まいわし
生干し
3.12g
うなぎ
2.42g
まさば
2.12g

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

n-3系脂肪酸は身近な食品に多く含まれているので、日頃から意識して摂取するように心掛けましょう。

ポイント4 食物繊維を十分に摂る

食物繊維を十分に摂ることもメタボリックシンドロームの予防や改善のために有効です。

食物繊維には脂質や糖、ナトリウム(食塩)を吸着して体外へ排出するがあります。

そのため、これらの摂り過ぎが原因で起こる肥満や脂質異常症、高血圧、糖尿病などの生活習慣病を予防・改善する効果があるとされています

食物繊維は玄米や胚芽米、麦飯、全粒粉のパン、そばなどの精製度の低い穀物に多く含まれるため、主食をこのようなものにすることでたくさん摂ることができます。

その他、海藻、きのこ、こんにゃく、豆類、大豆加工品なども食物繊維が豊富な食品です。

食物繊維は現代の日本人にとって不足しがちであるため、意識的に摂るようにしたい栄養素ですね。

ポイント5 アルコールを控える

メタボリックシンドロームを予防・改善するためにはアルコールを控えることも重要です。

アルコールの摂取が過剰になると、中性脂肪が増加し脂質異常症の発症につながります

中性脂肪は飲酒量が多くなるにつれて増加するとされています。

アルコールは他にも肥満や高血圧の原因となるため、適度にとどめるようにしましょう。

アルコールについては以下の記事で詳しく解説しています。

アルコールを健康的に楽しむには?飲酒のリスクと適切な飲酒量を解説

ポイント6 ナトリウムの摂り過ぎに注意する

メタボリックシンドロームの予防や改善のために、ナトリウムの摂り過ぎにも注意しましょう。

ナトリウムは必須ミネラルの一種で、主に食塩(塩化ナトリウム)の形で体に取り込まれます。

メモ
ネラルとは、生体を構成する元素のうち、主要な酸素・炭素・水素・窒素以外のもののことです。このうち栄養素として欠かせない16種類を「必須ミネラル」といいます[8]。

ナトリウムの摂り過ぎは血圧を上昇させ高血圧を招きます

日本人の食生活では食塩が多く使われる傾向があります。

そのためナトリウムの摂取が過剰となり、このことが日本人に高血圧が多い最大の原因といわれています。

日本人の食事摂取基準における成人の1日当たりのナトリウム摂取目標量(食塩相当量)は、男性で7.5g未満、女性で6.5g未満です[9]。

目標量とは
生活習慣病の発症予防を目的として、現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量として設定された基準です。

ただし、高血圧の重症化予防のための食塩相当量は、男女ともに6.0g未満とされています[9]。

メモ
食塩相当量は食品に含まれるナトリウムの量から、そのナトリウムが全て食塩(塩化ナトリウム)として含まれていた場合の食塩の量を計算した値です。ただし食品には塩化ナトリウム以外の形で含まれるナトリウムも存在するため、実際の食塩含有量と一致するわけではありません。

普段から麺類の汁を残す、必要以上に調味料を使わないといった工夫で減塩を行い、高血圧の予防に努めましょう

食塩摂取量を減らすためのポイントは以下の記事でご紹介しています。

減塩食を続けるポイントとは?健康への効果や食塩の摂取目標量も紹介

[8] 国立研究開発法人国立循環器病研究センター「栄養に関する基礎知識

[9] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)

ポイント7 カリウムを十分に摂る

メタボリックシンドロームの予防や改善のためには、カリウムを十分に摂ることがおすすめです。

カリウムは必須ミネラルの一種で、ナトリウムを体外へ排出するはたらきをします。

そのため、カリウムを多く摂ることで血圧を下げる効果が期待できます

生活習慣病の予防のため、WHO(世界保健機関)が推奨するカリウムの摂取量は、1日当たり3,510mgです[10]。

しかし日本人の摂取量はこれに遠く及ばないため、厚生労働省は1日当たり成人男性に対し3,000mg以上、成人女性に対し2,600mg以上の目標量を設定しています[10]。

カリウムは野菜や果物、大豆製品などに多く含まれます

これらの食品を積極的に取り入れて、カリウムの目標量を確保しましょう。

カリウムの摂取源は以下の記事で詳しくご紹介しています。

カリウムとは?はたらきや摂取すべき量、摂取源となる食品を紹介

ただし、腎臓に病気がある場合はカリウムの摂取が制限されることがあるため、主治医への相談が必要です。

[10] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)

ポイント8 有酸素運動を行う

有酸素運動を行うことは、メタボリックシンドロームの予防や改善のために効果的です。

有酸素運動とは
筋肉の負荷が比較的小さい運動のことです。エネルギー源として糖質や脂質と共に酸素が消費されることからこのように呼ばれます。ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳などが該当します。

有酸素運動は体内の糖質や脂質を燃料として消費するため、内臓脂肪の蓄積や脂質異常症の予防・改善や血糖値の安定に効果が認められています。

また、有酸素運動を行うことにより、高血圧の改善が期待できます。

運動で内臓脂肪を減らすためには、1週間当たり10「メッツ・時」以上の有酸素運動が必要です[11]。

メッツとは
運動や身体活動の強度を表す単位のことです。安静時を1として、その活動が何倍のエネルギーを消費するかを示しています。

メッツ・時は運動のメッツと実施時間を掛け合わせたものです。

例えば3メッツの運動を30分(0.5時間)行った場合は1.5メッツ・時となります[12]。

代表的な運動のメッツは以下のとおりです。

【主な有酸素運動のメッツ】
メッツ 運動種目
2.5メッツ
ヨガ・ストレッチ
3.5メッツ
ウォーキング・軽い筋トレ
4.5メッツ
水中ウォーキング
5.0メッツ
かなり速いウォーキング
6.5メッツ
山登り
7.0メッツ
ジョギング
8.0メッツ
サイクリング
12.3メッツ
縄とび

スポーツ庁「身体活動のメッツ(METs)表」をもとに執筆者作成

まずは、ストレッチやウォーキングなど手軽にできそうな運動から始めてみるのも良いでしょう。

有酸素運動についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

有酸素運動とは?効果や無酸素運動との違い、おすすめの運動を紹介

[11] 厚生労働省 e-ヘルスネット「内臓脂肪減少のための運動

[12] 横浜市保土ヶ谷区「「メッツ」「メッツ・時」とは

6.メタボの診断基準となる腹囲についてのまとめ

メタボリックシンドロームの診断において、腹囲は内臓脂肪の蓄積を推定するための基準です。

男性で85cm以上、女性で90cm以上の場合に内臓脂肪面積100平方センチメートルに相当するとされ、内臓脂肪が蓄積した状態と診断されます[13]。

腹囲を測定する際は、おなかに力を入れず息を吐ききったタイミングでへその周囲を測ります。

メタボリックシンドロームの診断基準は腹囲のみではありません。

腹囲に加えて血清脂質、血圧、血糖のうち二つ以上が基準から外れている場合、メタボリックシンドロームと診断されます

それぞれの診断基準は、血清脂質がトリグリセリド(中性脂肪)150mg/dL以上かつ/またはHDLコレステロール 40mg/dL未満、血圧が最高血圧 130mmHg 以上かつ/または最低血圧 85mmHg 以上、血糖が空腹時血糖値 110mg/dL 以上です[13]。

メタボリックシンドロームは動脈硬化を進行させ、心臓病や脳卒中など命に関わるさまざまな病気の原因になります。

内臓脂肪の蓄積や血清脂質の異常、高血圧、高血糖はそれぞれが動脈硬化の因子で、重なるほどにこうした病気を引き起こすリスクを高めます

さらに、腹囲が大きくなる内臓脂肪型肥満は高血圧や高血糖、血清脂質の異常を引き起こしやすくするといわれます。

そのため、メタボリックシンドロームは予防・改善が必要です。

メタボリックシンドロームの予防や改善のためのポイントとして、エネルギー摂取量を適切にすることやエネルギー産生栄養素のバランスを整えること、脂質の種類に気を付けることなどが挙げられます。

さらに、食物繊維やカリウムを十分に摂取することや、ナトリウムの過剰摂取に気を付けること、アルコールを控えたり有酸素運動を行ったりすることも効果的です。

この記事を参考にしてメタボリックシンドロームについて理解を深めるとともに、予防や改善を意識して健康的に過ごしてくださいね。

[13] 厚生労働省 e-ヘルスネット「メタボリックシンドロームの診断基準

生活習慣病に関連するおすすめ記事
メディパレット編集部

執筆者 メディパレット編集部

私たちは「健やかな未来を、ここから。」をコンセプトに、健康に関わる情報メディア“Medipalette”を運営しています。

← TOPへ戻る