血圧

血圧測定の必要性とは?大切な理由と正しい測り方を紹介!

メディパレット編集部

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血圧測定の必要性とは?大切な理由と正しい測り方を紹介!

「市販の血圧計を使って自分でこまめに血圧を測って健康管理したい。」

「自分で測ると健康診断の数値と違っていることが多いけど、ちゃんと測れているのかな?」

「自分で血圧測定をして本当に意味があるのだろうか。」

市販の血圧計を購入してみたものの、このように考えている人は多いのではないでしょうか。

自分で血圧を測定して健康管理をすることは非常に大事です。

しかし、測定方法が間違っていると、誤った数値が出てしまう恐れがあります。

どんな測定方法が正しいのか詳しく把握しておきたいところです。

本記事では血圧測定の必要性と、正しい測定方法について紹介していきます。

1.家庭での血圧測定が大切な理由

血圧測定

医療機関で測定した血圧と、家庭で測定した血圧の数値は一致するとは限りません。

そのため、家庭でも血圧測定をすることが大切です。

最近の研究では、脳卒中や心筋梗塞などのリスクを判断する際に、家庭で測定した血圧の方が重要だということが分かってきました[1]。

そのため、高血圧かどうかを判定する際には診察室で測定した数値よりも家庭で測定した数値を用いることが多くあります。

家庭血圧の場合には、最高血圧135mmHg以上かつ、または最低血圧85mmHg以上が高血圧の基準とされています。

そして、高血圧は診察室と家庭での数値によって次の3種類に分類されます。

[1] 特定非営利活動法人日本高血圧学会「高血圧の話」

【関連情報】 「高血圧の基準とは?高血圧が招く病気や改善のポイントを徹底解説」についての記事はこちら

1-1.白衣高血圧

白衣高血圧は、学校・職場・家庭などで測定した場合には通常の数値が出るものの、診察室や健康診断などで高い数値が出るタイプです。

医師や看護師など白衣を着た人の前で測定すると緊張して普段よりも血圧が上がるため、白衣高血圧と呼ばれています。

病院や健康診断で測定する際にリラックスして測定することは難しく、自宅での測定値よりも高く出ることが多いようです。

白衣高血圧は、ほかのタイプの高血圧と比べると健康リスクはそこまで高くはなく、臓器障害なども軽度のケースが多いです。

しかし、将来的に脳心血管病を発症するリスク(脳心血管複合イベントリスク)が高いとされています[2]。

[2] 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」

1-2.仮面高血圧

仮面高血圧は白衣高血圧とは反対に、病院の診察室や健康診断で血圧測定をした場合には通常の数値が出て、自分で測定した場合には高い数値が出るタイプです。

仮面高血圧は健康診断では「異常なし」と判定されてしまうため、自分で測定をしないと、血圧が高いことに気付けません。

本当は血圧が高くても、治療を受けないまま過ごしてしまうことも考えられます。

仮面高血圧は、喫煙者や精神的ストレスを抱えやすい人などがなりやすいとされています。

これは、病院に行ったり健康診断を受けたりしている間は喫煙やストレスの影響がなく、血圧が低く出やすいためです。

また、高血圧の治療を受けている人も、診察時には治療薬の効果が効いていることが多いため、仮面高血圧となるケースがあります。

1-3.持続性高血圧

持続性高血圧は、診察時に測定しても自分で測定しても高い数値が出て、常に血圧が高い状態が続いているタイプです。

一般的に高血圧とは、持続性高血圧を指すことが多くあります。

持続性高血圧は動脈への負担が大きいため、心筋梗塞や脳卒中を起こすリスクが高いといわれています。

【関連情報】 「高血圧とは?基準値や健康上のリスク、改善のポイントを徹底解説」についての記事はこちら

2.正しい血圧測定の仕方

血圧計

家庭で血圧測定を行うときには、診察室での血圧測定とできるだけ同様に測定することが求められます。

ここでは、正しい血圧測定の手順について紹介します。

2-1.血圧測定する機器

血圧計には上腕式、手首式、指先式などの種類があります。

なかでも、上腕式血圧計は測定の正確性や信頼性が高いのが特徴です。

そのため医療機関でも使用されています。

家庭で血圧測定を行う時は、医療機関と同様の結果が得られる上腕式血圧計を使用することがおすすめです。

本記事においては上腕式血圧計を使用した家庭血圧測定について説明します。

なお、手首式、指先式で血圧を管理することも意味がないとは言えません。

しかし、正確性には注意が必要です。

【関連情報】 「【2024年6月】血圧計おすすめ25選!上腕式と手首式の特徴も解説」についての記事はこちら

2-2.血圧測定する部屋

血圧は精神状態によって数値が変化します。

気になることがあったり、ストレスを感じていたりする状態では、正確に測定できません。

また、暑過ぎたり寒過ぎたりする環境も、血圧に影響することがあります。

そのため、静かな部屋で過ごしやすい温度にした上で測定するようにしましょう。

測定前の1〜2分程度は何もせずに安静にしましょう。

なかなか落ち着かない場合には、ゆっくりと深呼吸してみることをおすすめします。

測定中は、動いたり会話したりしないようにしましょう。

2-3.血圧測定する姿勢

血圧測定時の姿勢は座位が望ましいです。

立っているよりも座っているときの方がリラックスできます。

なるべく背もたれのある椅子に座りましょう。

深過ぎず浅過ぎず、楽な姿勢で座って、背もたれには軽く背中を付けます。

足はまっすぐ下に下しましょう。

椅子に座って落ち着いたら、そのまま測定します。

また、測定の際に腕を置くスペースが必要になるため、机やテーブルも用意しておきましょう。

机やテーブルの上に手を置いたときに、心臓と同じくらいの高さになるようにします。

2-4.血圧測定の前

アルコール・タバコ・カフェインなどは、血圧に影響を与えます。

そのため、血圧測定をする前には、飲酒や喫煙を控えるようにしましょう。

コーヒーや紅茶など、カフェインを多く含む飲み物も飲まないでおくことが望ましいです。

2-5.血圧測定中

血圧計はカフ(腕帯)を腕に巻いて測定する仕組みになっていますが、一般的には利き手とは反対側で測定することが多いようです。

カフは素肌に巻くのが望ましいですが、薄手の衣類なら上から巻いても問題ありません。

長袖で厚手の服を着ている場合は、脱いで測定しましょう。

腕まくりをして測定すると、正確な数値が出ない場合があります。

カフはひじの関節にかからないようにして巻きましょう。

2-6.血圧測定の記録

毎日朝と夜、だいたい決まった時間に血圧を測定し、その数値を血圧手帳に記入して記録をつけておきましょう。

そうすると、血圧が上がっているのか下がっているのか、それともあまり大きな変化がないのか把握できます。

そして、健康診断や通院時には、血圧手帳を持参するようにしましょう。

医師に血圧手帳を見せれば、今後の治療方針に役立てられます。

【関連情報】 「血圧はいつ測る?適切なタイミングが「朝・晩」な理由」についての記事はこちら

3.血圧測定で血圧が高めと感じたら

夫婦

血圧測定をしてみて血圧が高いと感じた場合には、次のことを意識してみてください。

3-1.「食生活」を見直す

高血圧は、食生活の乱れから引き起こされるケースが多くあります。

そのため、血圧が高いと感じたら食生活を見直してみましょう。

特に着目したいのは食塩摂取量です。

1日の食塩摂取量の目安は男性で7.5g未満、女性なら6.5g未満とされています。

しかし、最近の調査結果では、男女ともにその目安を平均2g程度と大幅に上回っているのが実情です[3]。

麺類のスープを残したり、卓上調味料の使用を控えたりするなどして、減塩を心掛けましょう。

食生活以外にも生活習慣の見直しが大事です。

例えば、お酒はなるべく控えるようにしましょう。

運動不足やストレスの溜め過ぎなども良くありません。

[3] 厚生労働省 eヘルスネット「栄養・食生活と高血圧」

3-2.「運動不足」の解消

運動不足を解消するなら、有酸素運動を取り入れましょう。

有酸素運動には血圧を下げる効果があるとされています[4]。

有酸素運動による運動療法では、最高血圧が2~5mmHg、最低血圧は1~4mmHg程度の低下が期待できると報告されています[5]。

これまで日常的に運動してこなかった人が、いきなり激しい運動を始めるのは難しいかもしれません。

そのため、最初のうちはウォーキングやステップ運動など、比較的軽めの有酸素運動から始めてみるのが良いでしょう。

慣れてきてからジョギングなどにステップアップしてみるのもよいかもしれません。

軽めの運動であっても、毎日続けることで運動習慣が身につき、生活習慣の改善につながります。

また、毎日30分以上の有酸素運動とストレッチや、スクワットや腕立て伏せなどのレジスタンス運動を組み合わせると血圧低下のほかにもさまざまな健康効果が期待できます[5]。

[4] 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2014」

[5] 日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」

【関連情報】 「血圧を下げる方法は?食事や運動などの生活習慣改善のポイントを解説」についての記事はこちら

4.血圧測定の必要性についてのまとめ

血圧は精神状態や体調などにより変化します。

高血圧のなかでも白衣高血圧・仮面高血圧・持続性高血圧などの分類があるため、自分がどれに該当するのか把握しておきましょう。

そして、自宅で血圧測定をするときには、医療機関で測定するときとできるだけ同じ方法で行うことが大切です。

毎日朝と夜に測定し、記録しておきましょう。

血圧が高めだと診断されたら、治療を受けながら食生活の見直しや運動療法などを続けていくことが大切です。

この記事の監修者

井上 志穂
井上 志穂
内科認定医・がん治療認定医

【経歴】
国立大学医学部医学科卒業後、公立病院にて初期研修の2年を終了後、3年目からはがん治療を専門としながら幅広く内科疾患の診療に従事。治療が必要となる前の生活習慣の改善、また病気についての正しい知識が大事であることを実感し、病気についての執筆活動にもあたっている。

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